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Rosenfeld Media 正式オープン

前回の投稿からすっかり時間が経ってしまいました。というか新年初エントリですね。

今年もよろしくお願いいたします。

さて、PeterのBlogで知ったのですが、彼としろくま本を共著した Louis Rosenfeld (ルイス・ローゼンフェルド)が、新たに出版事業を始めたとのこと。その名も、「Rosenfeld Media」です。

既存の出版社とは一線を画すコンセプトとメソッドに基づく、非常に興味深いメディアになりそうです。

要点をまとめるとこんな感じですね。

  • 出版するのは比較的ボリュームの小さい、実用性にフォーカスした、ユーザエクスペリエンス(UX)関連書籍。「What」と「Why」についての情報はすでに溢れており、いますぐ必要なのは「How」である。
  • 紙媒体で出版される本は、どうしてもすぐに内容が陳腐化する。そのため、RMのほとんどの書籍はオンラインで無料公開され、著者による改訂もタイムリーに行われる。(もちろん場合によっては有償で、あるいはプリントバージョンとして提供する書籍もありうる)
  • 既存の出版事業のように一方通行なメディアではなく、RMのサイト自体でUX的手法を駆使し、読者からのニーズを吸い上げたり、読者のナレッジを蓄積しオーガナイズするような仕組みを提供するなど、新たな双方向メディアの実現を目指す。

この知らせを聞いてすぐに感じたのは、Peterの『Ambient Findability』を読んでいても感じたことなのですが、こういう人たちはいわゆる「Web2.0」というものの先を見ているなあ、ということです。

「Web2.0」の特徴の内に挙げられるCGMやバイラルマーケティングというものは、到底万能の杖ではないはずなのに、特に日本国内ではあまり批判的な意見もなく持ち上げられすぎな感があります。個人的には「Web2.0」という言葉自体、定義や用法の曖昧な単なるバズ・ワードに過ぎない気がして、あまり好きではありません。以下のような極端な意見にも、若干賛意を表したくなります。

特に気になるのは『Web 2.0』という語だ。これは本物の概念でもなんでもない。意味も中身もない、あやふやで、漠然とした雲のような、まったく実体のないアーキテクチャだ。私は、人々がWeb 2.0という語を使うのを聞くと、その日一日、自分が少し愚かになった感じがする ― Joel Spolsky

引用元:http://blog.japan.zdnet.com/soa/a/000223.html

ユーザの持つ潜在的な知識やデータには、もちろん多大な価値がありますが、それをただ集めただけでは単なる「データの堆積」で終わってしまう危険性があります。「データの堆積」を「組織化され再利用可能な情報資産」に転換するには、そこに誰かの意図が働かねばならないはずです。その誰かがたった一人なのか大勢なのか、運営者サイドと利用者サイドのどちらに比重がかかっているか、それは各コンテンツやサービスによって千差万別ではあるでしょうが、いずれにせよただ漠然と「ユーザ」という集団の責任能力を当てにするのはあまりにもヘビーな賭けです。

PeterやLouは、「Everybody is Nobobyという状態に陥りやすいWeb2.0の罠をよくよく理解しているのでしょう。ユーザが持つデータを集めることは、道のりの半分に過ぎない。それを「神の見えざる手」に任せっぱなしにするのではなく、誰がどのように価値のある情報に転換していくのかをはっきりさせねばならない、という所に、着目しているように感じます。

そしてLouが今回出版事業という形で新たなプロジェクトを自分自身で立ち上げたのも、彼がいまこの時代において、自分の果たすべき役割というのをはっきりさせようとする意欲の現れに他ならないと思います。

単にUX関連のナレッジデータベースを作りたいだけなら、出版という事業形態を取らなくてもよいはずですよね?その手の新しいWebサービスを作るだけで十分なはずです。けれどLouはそうはしなかった。なぜなら、RMが「出版社」としての権威と責任を持つことによって独自の「編集プロセス」というものを介在させるほうが、より価値の高い情報を提供できると考えたからでしょう。

海外ではWeb2.0絡みのキーワードとして「コントロールの放棄(Relinquishing Control)」というフレーズがよく出てきますが、本当にユーザに任せっぱなしにするのがよいのかそうでないのか、ケースバイケースできちんと考えていく必要があるのではないでしょうか。

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コメント

自己レスですが、Web2.0に感じる違和感というのは、それが結局、Webに言わば「オプトイン」している人々の間でしか価値を見出されていないことと、Web2.0的ユーザ像というものがあまりに画一的に見えること、なのかもしれません。
もっときちんと議論したいポイントですが、とりあえず。

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