偶然にも、Webページ上でのユーザの視線移動に関する記事が2つ、相次いで目に留まりました。
- 軌跡は“F”を描く (Jakob Nielsen博士のAlertboxより)
- Google の検索結果、他の検索エンジンよりも適切? (Japan.internet.comより)
前者ではF字型、後者では“黄金の三角形”というように表現は異なりますが、それらが指しているのはどちらも画面の左上部を基点としたおおまかな三角地帯ということになります。
これらの調査結果には直感的に納得がいきますが、IAとしてはここで「そりゃそうだ」と言ってジ・エンド、ではなく、ちょっとだけ気に留めておきたいことがいくつか。
(1)左上を基点とする視線移動は、言語の属性による相対的な結果である
そもそもどうして左上が重心なのかという理由は明らかに、上記の調査の場合「英語」という、左から右へ記述する言語で設計されたサイトで調査が行われたからです。
当然、右から左へ読む言語のサイトの場合、結果は左右反対になるでしょう。
たまたま日本語も、横書きの場合左から右へ読む言語なので、上記のような調査結果がすんなり受け入れられたわけです。が、日本語は縦書きにもできるので、「縦書きウェブページ」では視線の軌跡はまったく異なるものになるはずです。
上記の調査結果は非常に意義のあるものであり、英語や日本語のサイトにおいてはほぼ標準的な法則に近いと思うのですが、それでもなお“唯一絶対の正解”というわけではないことを、職業上わきまえておきたいと思うのでした。(これも一種の「IA Thinking」ってやつでしょうか?w)
※縦書きウェブページは現在のところ、小説など創作系の日本語テキストを公開している方が作成されていることが多いようです。確かに企業サイトでは縦書きにする必然性はほとんどないとは思うのですが、コンテンツ次第では縦書きも面白くなるのではないでしょうか。「ハイクブログ」とか、全部縦書きにしてくれたらもっと気分出て楽しいかもw。
(2)メニューの配置は、入力デバイスとの関係によって最適性が変わるかも
右か左か、という問題設定でもう一つ以前から気になっていることがあります。
それは、非常に多くのサイトで、2カラムデザインの場合サイドメニューは左側にあるということです。これって、よく考えると不思議ではないでしょうか。
駅の自動改札、券売機、ジュースやたばこの自販機など、多くの物理的インターフェースは、統計的に右利きの人が左利きの人よりも多いという前提に基づいて設計されています。つまり、切符やコインを入れるスロットが右側にあります。
しかし、Webページの場合は、サイドメニューが右より左にあることが多いのです。これはなぜか。もちろん理由があるはずです。おそらくこうです。
メニューというインターフェースは、単なるインタラクションの装置というだけではなく、コンテンツの情報アーキテクチャを示す「目次」の役割も兼ね備えている。
日本語(そして英語も)は左から右に読むので、目次→内容という意味的な流れに沿ってレイアウトを行うとすると、メニューは左にあるほうが自然となる。
そして、現在Webブラウザを操作するために最も多く利用されている入力デバイスはマウスだと思うのですが、マウスは、デバイス自身のベクトル運動をスクリーン上の座標に変換して反映する「間接的」な入力デバイスと言えます。つまり“直感性”が意外と薄いため、利き手の側にインターフェースがあるかどうかをあまり意識しなくても済むのでしょう。
しかし、画面を直接触れるタッチペンなど、より「直接的」な入力デバイスの利用が増大すれば、サイドメニューは右側に来ることが多くなるかもしれません。あるいはサイドメニューという形式そのものを採用しないという判断もありえます(利き手になるべく依存しないユーザビリティを目指すなら、このほうが望ましいでしょう。実際、タッチペンを使うPDAなどではサイドメニューをほとんど見かけません)。
というわけで、物理的UIについてゆうべからあれこれ考えていたところで、ネットでたまたま見つけた以下のページは、とても参考になりました。
ついでに Wikipedia – 利き手 にもリンク。ラテラリティ(左脳・右脳の機能差)の世界は、非常に奥が深そうです。