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Retrospect 2006 (3) - 不均衡社会ニッポン、情報のメタモルフォーゼ

不均衡社会 - ITに何ができるか?

いま、われわれ日本人はいったい何を思い、何を欲しているのか。
それを探る材料として、非常に役立つ資料があります。

50ページ足らずのPDFファイルですから、1時間もあれば読めます。もちろん無料で。
しかし、これは今後のビジネスを考える上でとんでもなく貴重なデータであり、数え切れないほどのヒントをもたらしてくれるはずです。
政府や日銀などによるトップダウンな景気回復の判断や、Web2.0バブルに代表されるIT界隈での一見華やかなトレンドに目を奪われているうちに、実は自分たち自身の本当の姿を見誤っていることにも気づかされるかもしれません。

このドキュメントが提示するデータを端的に1つの言葉で表すとしたら、
それは「不均衡」でしょう。
いま、私たちが暮らしている日本の社会は、国家として、地域社会として、家族として、何よりも個人として、すべてのレイヤーでバランスを失ってしまっているようです。

昨年2005年に、日本はついに人口減少局面に入りました。今後も人口の減少は進み、現在約1億2千万人の人口が1億人を大きく下回るまでになることは確実と試算されています。上記の白書によれば、全人口に占める生産年齢人口(15~64歳)の割合は、早くも1995年から減少しています。
また、高齢者になるほど保有資産が多く、「モノ・カネの豊かさ」よりも「心の豊かさ」を重視する傾向が強まっていることから、世代によるライフスタイルの差異と、それに伴って今後予測される需要の変化もうかがい知ることができるはずです。
プレイヤーの総数がどんどん減っていると同時に、原始的なRPGのように機械的にお金を稼いで何かを買って使うことの繰り返しをするだけでは満足できない、あるいはもうそのような「労働→消費」という行動自体に興味がない、というプレイヤーがどんどん増え続けている厄介な場所、それが今の日本だと思います。

では、「心の豊かさ」は何によってもたらされるのか?
その答えが、「情報と知識」なのではないかと思うのです。
それが今、我々がもっとも必要とし、手に入れたいと願っているものではないでしょうか?

日本では特に携帯電話でのネット利用が顕著ですが、モバイルでの利用目的は大部分が「コミュニケーション」だと思われます。コミュニケーションは、「情報と知識」の交換に他なりません。
IDEA 2006で基調講演を行った Linda Stoneは、その中で情報をめぐる進化の形を以下のように述べました。

Noise → Data → Information → Knowledge → Understanding → Wisdom

情報と知識の先に、「理解」がある。
そして「理解」の先に「叡智」がある。
知識が叡智へと進化するためには、「理解」というプロセスを経なければならないということ。

この彼女の指摘には、その場で内心激しく同意したのを思い出します。

IT技術やネット環境の進歩につれて、「モノ」を買ったり売ったりすることは劇的に便利になりました。同様に、「情報」を発信したり入手したりすることも、一見手軽になったかのように見えます。しかし、こちらはモノほど簡単に、あるいは確実にやり取りできるものではありません。
IT業界で働く一人として今の日本を見渡してみると、情報を自分の思うがままに収集・操作・交換できるほどITの恩恵を享受できている人がまだまだ少ないこと、必要な情報が本当にそれを必要としている人たちのところにまで行き渡っていないことを思い知らされ、もどかしい気持ちでいっぱいになります。
それに、この10年でITの世界が劇的に進化してきた一方で、自殺者数・自殺率、失業率、犯罪件数、児童虐待相談件数、ドメスティック・バイオレンスの認知件数、これらすべての数値は10年前よりも増加しているという事実を、いったいどう受け入れればよいのか。

私たちは、果たして10年前より幸せになったと言えるだろうか?
日本でのITの進化が、ビジネスのレイヤーを超えてよりよい社会を作り出すことにまでなかなかたどり着けないのはなぜか?
私たちは、どこでその“見えない壁”にぶつかってしまっているのか?

これらが、去る2006年を通じて、自分の中で日々問い続けてきた一番重要な疑問でした。

というわけで、今年も時にはオープンリーチをかけながら、そして真面目モードと不真面目モードをほどほどに行き来しながら、これらの疑問に向き合いつつ、また新しい何かに出会うことを願いつつ、このブログを続けていきたいと思います。
ほんとに遅ればせながら、みなさん今年もよろしくお願いいたします。

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コメント

確かにもどかしいのですよね。
インターネットが広がればどこからでも仕事ができる、そんな話しがありました。
日本では結局最後には、直接の打合せだったり、セミナーだったり、飲み会だったり、
会わないことには仕事になりません。
知人のイラストレータも結局北海道から東京にでて来ましたよ。

日本だとつねに「あ、うん」を求められる。
その為に、近づいていないと仕事もできなくなってしまうのか...。

結局狭い所に皆が集まるって、幸せとは遠い気がしますしね。
もっと広い所で、のんびりした時間で仕事がしてみたいですね。
東京時間は早過ぎますからね。

時間と言えば「富の未来」は大変によい本でしたよ。

ブルース・スターリングのセッションの直前にしゃべったのが、昨年秋ごろからサイトのデザインやコンセプトで非常に注目されてる手工芸コミュニティ「Etsy」の開発者だったのですが、Etsyのコアメンバー4人は全員別々の州にいながら、一緒にサイト作ってるんだという話をしていました。いいなあw

トフラーの本、読むべきリストに追加しますね~

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