スチュアート・ブランドの著書『How Buildings Learn』は、建築分野の専門書であるにも関わらず、海外のIAの間で必読書に近い評価を受けている、非常に示唆に富んだ書籍です。その重要なコンセプトである“Pace Layering”については、私が翻訳させていただいたピーター・モービル著『アンビエント・ファインダビリティ』にも取り上げられていました。
日本のIAの間でもこの本への関心は高く、おととしの夏には情報アーキテクチャアソシエーションジャパン(IAAJ)主催の読書会も実施されています(レポートはこちら)。
邦訳が出版されていないこともあって少人数での開催となりましたが、非常に面白いディスカッションとなりました。
実は先日、さらに時代を遡ってもう10年以上昔の1997年に、BBCでこの『How Buildings Learn』が全6話のシリーズ番組として放映されていたのを知りました。
現在、それらがGoogle Videoで視聴できます。1話30分で、以下の構成となっています。
- Part 1 — Flow
- Part 2 — The Low Road
- Part 3 — Built for Change
- Part 4 — Unreal Estate
- Part 5 — The Romance of Maintenance
- Part 6 — Shearing Layers
全6話とも、Google VideoからiPod/PSP用の動画ファイルとしてダウンロードすることもできます。
スチュアート自身が出演と共同脚本を担当しており、音楽はなんとブライアン・イーノが手がけています。Google Videoの紹介テキストによれば、
この番組の内容はすべて、BBCのクレジットを入れさえすれば自由に二次利用してOK、私に許可を求める必要はないよ、とのこと。未だにヒッピー精神旺盛なところがうかがわれますね。
ちなみにこの番組は、予算が厳しかったために、当時はまだほとんど例がなかった完全にデジタルな手法での制作となったとのこと。
デジタルビデオカメラはごく小さいため、撮影中の彼らはただの観光客だと思われていたようで、めったに撮影許可を求めずに済んでしまったそうです。
とはいえ、そこはBBCの尽力もあってか、かなり見応えのある内容でした。
本を読んだ時にも感じたのですが、彼が論じる「建築」についての認識やアイデアの一つ一つが、
「ウェブサイト」に対するアナロジーとして解釈できてしまうのが何ともいえず面白いのです。
もちろん、世界各地のユニークな都市や建築の映像や、実際にそこで生きる人々の声は、
原著の内容をより豊かにしてくれる貴重な記録となっています。
そして、もう一つびっくりしたのが、あの『パタン・ランゲージ』のクリストファー・アレグザンダーも登場していること。彼の肉声を聴けたのは、ミーハーな感想ながらちょっとした感激でした。
最後の6話でスチュアートが語った、印象的なフレーズを以下にメモしておきます。
What I’m really interested in, is not architecture; it’s buildings.
The problem with architecture is that it’s allergic to time, because architects keep being asked to create lasting monuments. But buildings have no such presumption.
Buildings lives in time, the same way we do.
In time, we learn.
In time, buildings learn.
建物も人間と同じように、時の流れとともに移ろっていく。その絶え間ない変化を止めることはできない。
いかに起こりうる変化を予測し、起こりつつある変化を認識し、すでに起こった変化に対処していくのか。
それを考えるのが建築家に課せられた役割だと言ってもよいでしょう。
そして、建物を「ウェブサイト」に、建築家を「ウェブデザイナー」に置き換えても、何ら違和感はありません。
スチュアートは番組の中で、
「一番重要な建築家/アーキテクトとは、“時間”なのだ」
と語っています。
インフォメーションアーキテクトを名乗る身としては、この“時間”というアーキテクトの存在をきちんと認め、いかにうまく手を携えていけるかを考えることが、ウェブを設計するにあたって不可欠なポイントだと考えています。
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