先日、高須賀さんがブログに非常に興味深い記事をポストされていて、これがインフォメーションアーキテクトならば食いつかずにはいられようかwという内容だったので、ごく簡単ながら感想を述べさせていただこうと思う。
ここで3番目に挙げられた「motion energy」は、高須賀さん自身もご指摘のように、今後“最もインパクトのありそうな”ファクターだろう。
そして、2番目の「context format」のコンテンツとコンテキストの間で捨てられる“外情報(exformation)”が、「motion energy」の燃料の一部となるのではないだろうか。
外情報とは、デンマークの科学ジャーナリスト、トール・ノーレットランダーシュの著書『ユーザーイリュージョン―意識という幻想』に登場する用語である。
たとえば、Twitterでメッセージを発信するとき、私たちはそれを140文字という制限範囲内におさめるために、メッセージの目的を損なわないような形で余分な情報を切り捨てる。外情報とは、そのように明白な形で処分された情報のことである。
“多くの<外情報>を含んだメッセージには深さがある。ある人が最終的なメッセージを作り上げる過程で、意識にある大量の情報を処分し、メッセージから排除すれば、そこには<外情報>が生まれる。メッセージの情報量からだけでは、そのメッセージがどれだけの<外情報>を伴っているかはわからない。メッセージのコンテクストを理解して初めてそれがわかる”
(『ユーザーイリュージョン』125ページより引用)
この外情報について注目すべきなのは、それがメッセージの側ではなくそれを発する人間の側に立った概念だというところだ。
従来のメタデータのような「付加情報」あるいは「外部情報」というのは、あくまでも情報そのものから見た位置付けによるものでしかなかった。だから、人々の価値観がシフトするにつれて情報そのものの定義が変化していくとすれば、メタデータとデータ、情報と付加情報の境界はどんどん曖昧にならざるを得ない。だから、高須賀さんの図でコンテンツとコンテキストの中間にある「context format」の最適な落としどころをトップダウンで定めるのは、その対象ユーザーが増えれば増えるほど困難を極めるだろう。
だとすれば、そもそもコンテンツを生成する情報発信者たちが、これまではただ捨てられるだけだった外情報を何らかの形で(もちろん自動的に)プールできる仕組みがあれば、それを活用した「context format」の最適化が可能になるのでは?
そして、プールした外情報を活用する新たなアルゴリズムを開発することで、「motion energy」へと転換することができるのでは?
至極漠然とした考えでしかないが、そんな可能性を感じている。
そして、高須賀さんが最後に言及されている、流動化が新たなイノベーションのキー・ファクターであり、すでにTwitterのRetweetやtumblrのreblogなどに流動性価値の兆候が見られるというポイントを見て思い出したことがある。
私が翻訳をお受けした『アンビエント・ファインダビリティ』が出版された2006年の春に、そのPRイベントで増井俊之さんを交えたパネルディスカッションに加わるという貴重な経験をさせていただいたのだが、この本の重要なファクターであるネットでの権威(Authority)についておたずねしたところ、
「僕は、はてブ(はてなブックマーク)がネットでの権威だと思う」
という答えをいただいたのだが、それがいまだに忘れられないのだ。
なぜかというと、その時、会場からは失笑に近い笑いが起こったからである。
Twitterが誕生したのは、その3ヶ月後のことだ。
もし現時点で同じシチュエーションが生じたなら、笑うどころかみんな真顔でうなずくのではないだろうか?
というわけで、高須賀さんがこれからまたどんなサービスを世に送り出してくださるのか、楽しみに待ちたいと思う。
あわよくば、何か少しでもお手伝いできたら嬉しいのだが