西垣通氏が今年の2月末に上梓されたばかりの『集合知とは何か – ネット時代の「知」のゆくえ』を手に取ったのは、いつも知的興奮を与えてくださる佐々木裕一氏のブログでのこの記事がきっかけだった。
私がこれから書こうとしている文章は、言うなれば佐々木氏への「返歌」である。
インターネットの利用が普及し、CGMやSNS、ユビキタスコンピューティング技術などが私たちの日常にますます浸透し、リアルとバーチャルという旧式な二分法が崩壊しつつある時代、そして日本においては東日本大震災という大きな試練を乗り越えようとしている現在。それは、トップダウンで硬直的で権威主義的な専門知への失望と、ボトムアップで弾力的で“民主的”な集合知の形成への期待がますます高まりつつある時代でもある。
西垣氏が訴えているのは、いわゆるクオリアが支える一人称の「主観知」から、社会で共有することが不可欠となる三人称の「客観知」を導くことの複雑さと難しさであり、その両者を橋渡しするための、対話によって構成される「二人称の知」の重要性だ。
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